【レアル・ベティスvsレバンテUD マッチレポート】

先日行われたラ・リーガの第一節、レアル・ベティス対レバンテUD。昨季6位でELの出場権を得たベティスと15位ながら終盤の監督交代以降8勝2敗1分けという好成績でシーズンを終えたレバンテとの一戦は、ホームのベティスが0対3で完敗するという結果に終わった。この試合のベティスに見られた問題、そして少なくなかった光明について見ていきたい。

 

ボールを保持したのはベティス。3バックの前にアンカーのカルバーリョが陣取り、WBが高い位置を取って2シャドーと並ぶ3142がこの試合の基本形だった。対するレバンテは442でハーフウェーライン自陣側にミドルブロックを敷き、ベティスの攻撃を受け止めよういう布陣。78%対22%というボール保持率にも表れているように、ほとんどの時間でベティスが攻撃の主導権を握っていた。


上手くいっていたビルドアップ 求められる崩しの柔軟性

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ベティスのビルドアップの鍵となったのは、アンカーのカルバーリョだ。レバンテの442のうち、誰がカルバーリョのプレスに行くのか。レバンテ側のはっきりとした解答は見られず、ベティスはそこから生じたギャップを使って多くのビルドアップを成功させていた。

例えば開始30秒頃、ベティスのCBバルトラがボールを持ったシーンでは、レバンテの左IHカンパーニャが少し内に寄った位置を取り、カルバーリョをケアしに行っている。この時ベティス右シャドーのカナレスには左SHのバルディが付いていて、大外でフランシスがフリーになっている。このような構図は逆サイドでも見られ、ビルドアップで何度も使われる大きなポイントとなっていた。

ただ重要なのは、レバンテが全ての時間で自陣に引いてカウンターを狙っていたわけではないということだ。28分のベティスの自陣でのスローインや37分の先制点に繋がるシーンなど、レバンテは時折ベティス陣内にまで人数をかけハイプレスを敢行している。このマンマーク気味のハイプレスに対して、ベティスは余ったGKを使ったり、マークを連れたまま開いて間を通したりと、幅広い対応を見せていた。つまり総じて、フィールドの中盤までは上手くボールを運べていたのだ。


しかしその先、ファイナルサードでの崩しにベティスは大きな困難を抱えていた。後半のサナブリアの投入までグラウンダー、ロブ含め手元の集計で10本のクロスがレバンテのPAに送られたが、その内直接シュートに繋がったのはわずかに2本。その内1本はブロックされ、一本は枠外に大きく外れている。

クロスの種類としては大きく二つ、サイドを深くえぐってからのグラウンダークロスと、ハーフスペースでの切り返しからファーポストへのクロスが多く見られ、チームのポジショナルな志向を垣間見ることが出来たものの、クロスの質、飛び込むFWの質ともにレバンテのゴールを脅かすレベルには達していなかった。

そして相手に引かれた場合に多くなりがちなもう一つの攻撃手段、敵最終ライン手前からのミドルシュートも、この試合では目立っていた。しかしそのほとんどが枠外、もしくはGKに正面でセーブされており、GKがダイビングを強いられたのは後半も残り少ない43分の乾のシュートくらいである。もちろんレバンテDFのコースを切る技術やGKのポジショニングによるものもあっただろうが、それ以上に質の良いチャンスを創出できない攻撃陣に問題があったと言わざるを得ないだろう。

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また相手がハイプレスを仕掛けてきた場面、つまり最終ライン背後に大きなスペースが残されている状態であっても、プレスを躱したタイミングで縦へのスピードを速める、疑似カウンターを狙うようなシーンが前半はほとんど見られなかった。

恐らくはチームの目指すボール保持という方向性に沿って、リスクを冒し攻撃を急ぐ選択をしなかったということなのだろうが、後半のサナブリアや乾の投入以降カウンターからのチャンス創出が見られていたのは皮肉な結果と言えるかも知れない。

サナブリアはプレスを一気に飛ばしてしまうロングボール、そしてクロスのターゲットマンとして、乾はカウンターの起点となりボールを運ぶリンクマンとして、確かな働きを見せていた。

二人とも今後攻撃面での活躍が期待されるが、それだけに二人が入って以降見られたような割り切ったカウンターのシーンが前半から見られていれば、また展開は違ったかも知れない。


3失点を喫した「攻撃的」守備


では次に、3点を奪ったレバンテの攻撃に注目しよう。前述のとおりボールを握っていたのはベティスであり、レバンテの攻撃シーンは決して多くない。しかし試合を見れば、レバンテの方がより多くの決定的なチャンスを作っていたのは紛れもない事実だ。

その大きな原因として、ベティスの取っていた「攻撃的」な守備戦術が挙げられるだろう。ボール保持を狙ったベティスの基本的な守備戦術は、ボールを失うたびすぐにプレッシャーをかけて相手に攻撃のチャンスを与えず素早く奪ってしまおうというものだった。

奪回は多くのシーンで成功していたが、その代償として多くのピンチも招いていた。ベティスは時にCBまでもが敵陣深い位置まで持ち上がるなど人数を掛けた果敢な攻撃を見せていたが、その場合最終ラインに残るDFはわずか二人となり、一度ハイプレスの網を突破されると一気にゴールが危険に晒されてしまう。

 

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後半になってからは特にカウンター対応の意識が希薄になっているように感じられた。
例えば2失点目のシーンや61分にカウンターを受けたシーンでは、イーブンなボールになっているにも関わらずPA付近にCBフェダルやアンカーのカルバーリョを含めた8人以上が残っており、いくらビハインドを背負っていたとはいえリスクの高い状況だったことは間違いない。前にここまで人数をかけるなら、せめて素早く引いてスペースを埋める役割を誰かが担わなければならないだろう。

ただ1点目に関しては少し例外で、積極的なハイプレスからレバンテがベティス陣内でボールを保持した数少ないシーンが得点に繋がっている。このシーンではボールホルダーにプレッシャーがかかっていないにも関わらずライン間が広がっており、SBに大きなスペースを与えてしまった。

アンカーのカルバーリョももう少しライン間を埋めるポジションを取るべきだったが、どちらにせよこのシーンでチームのセット守備のまずさが露呈したと言えるだろう。即時奪回に重きを置く余り、相手にボールを保持され押し込まれた時に引くのかプレスをかけるのかが曖昧になってしまったのではないだろうか。


【まとめ】

まだ一節とはいえ、三節にはセビージャとのダービーマッチも控えている。
即時奪回を狙う際のリスクヘッジとボールを持たれた時の意思統一、そして引いた相手を崩す手段と、時にはカウンターを狙える判断力。課題は多いが、うまく行っていたビルドアップやカナレス、カルバーリョ、乾ら新加入の選手がある程度フィットしていたのはプラス材料だ。
ELへの挑戦も含め、今後もベティスには注目していきたい。


記事執筆

【hana】

大阪府在住/大学二回生/19歳
サッカー経験ゼロ
将来の夢:大舞台で自らの理論を実践すること
Twitter:https://twitter.com/hanasoccer4