【ロシアW杯に選ばれた世界の”ポリバレント”な5選手】

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5月31日、日本サッカー協会はロシアワールドカップに臨む代表選手23人を発表した。大方の予想通りの選出となったが、それでも大きく話題となったのが中島翔哉の落選である。欧州初挑戦にも関わらず公式戦10ゴール13アシストをマークし、ドルトムントやパリ・サンジェルマンなど欧州各国のビッグクラブも獲得に乗り出している中島はメンバー選考の最終テストとなったガーナ戦に挑むメンバー27人の中にも含まれていなかった。

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その理由として西野監督の説明は「”ポリバレント”ではなかったから」。 


“ポリバレント”という言葉は元々は化学の分野で使用される用語であり、2006年から2007年に日本代表監督を務めたイビチャ・オシム監督が使用していたことで日本でも認知され始めた。良く言えばユーティリティー、悪く言えば器用貧乏と捉えられるこの言葉の真意について後に西野監督は「間違いなく複数のポジションをこなせることは本当に大事」と説明している。 


日本にとどまらず、中島の活躍するポルトガルでも大きな議論を呼んだ”ポリバレント発言”。そこで今回はワールドカップに出場する国々の、複数のポジションをこなすという意味での”ポリバレント”な選手を紹介する。 


ジョシュア・キミッヒ(ドイツ代表/バイエルン) 

ワールドカップ連覇を目指すドイツ代表の不動の右サイドバック。
前回大会キャプテンとしてチームを優勝に導いたフィリップ・ラームの後継者と評され、ユーロ2016の大会中にレギュラーに定着してからは主力として活躍しており、コンフェデレーションズカップ2017でも全試合に出場してチームの優勝に貢献している。元々中盤で守備的な役割を担っていたが、右サイドバックやセンターバックに加えて中盤の攻撃的な役割も務められるなど引き出しが多く、その柔軟性はサイドバックに多くの役割を求めるジョゼップ・グアルディオラに重宝されていた。 

 

 

ラファエル・ゲレイロ(ポルトガル代表/ドルトムント) 

2016年、母国の史上初のユーロ制覇に大きく貢献し、自身も大会ベストイレブンに輝く。その大会終了後、バルセロナからのオファーを蹴って加入したドルトムントではディフェンダー離れしたテクニックを活かして中盤でプレーすることが多いが、代表では左サイドバックを担う。攻撃的でキック精度に優れ、自身の憧れと公言するクリスティアーノ・ロナウドに合わせるサイドからのピンポイントクロスは必見である。 

 

 

ダニーロ(ブラジル代表/マンチェスター・C) 

大会直前に全治6カ月の重傷を負ったダニエウ・アウヴェスに変わり、レギュラーを任せられることが予想されるラテラウ。ディフェンダーとしてはクラブ史上最高額の移籍金で加入したレアル・マドリードではその期待に応えられず、今季移籍したマンチェスター・Cでもチームの躍進とは反対に低パフォーマンスに終始。
しかし、サントスやポルトでも多くのタイトルを獲得してきた実績は確かで、ボランチや両サイド、さらにはサイドの一列前でも機能するユーティリティー性はあまりフォーカスされていない。今大会屈指のタレント軍団においては穴と見られがちで、対戦国は執拗に狙ってくるだろう。そこでどのようなパフォーマンスを発揮するか、サッカー王国の浮沈の鍵を握る存在だ。 

 

アシュリー・ヤング(イングランド代表/マンチェスター・U) 

元々はサイドハーフを主戦場としたテクニックに優れたドリブラーだったが、モウリーニョの下でサイドバックにコンバートされてからは第2の春を謳歌している。対人守備能力はみるみる上達し、今季のリヴァプール戦ではシーズンMVPを受賞したサラーをシャットアウト。攻撃面では持ち味のスピードを活かしたドリブルは健在で、近年は特にそこからのピンポイントクロスが冴え渡る。
今大会3バックで挑むイングランド代表において、攻守両面での貢献が求められるウイングバックは理想のポジションだろう。最近はプレースキッカーとしても評価されており、マルチな才能はチームを間違いなく助ける。 

 

 

コランタン・トリッソ(フランス代表/バイエルン) 

今大会1番のユーティリティープレイヤーと言えるだろう。センターフォワードとセンターバック以外のフィールドポジションを全てこなし、左右問わずサイドでもプレーできる多彩な才能は監督にとってはありがたい存在だろう。昨夏にクラブ史上最高額の移籍金で獲得されたマルチプレイヤーは、若きタレントが次々と溢れ出るフランス代表の中でも異質。ビッグネーム揃いのバイエルンでは出番が限られたが、まだ23歳。今大会を機にクラブと代表の両方で序列を覆すかもしれない。 

 


ユーティリティーな選手は総じてプレーの幅も広い。ワールドカップという何があるか分からない大会ではより重宝される能力だろう。しかし、ポリバレントではないとしても文句のつけようがない結果を残した中島を落とし、今季結果が出せず、トップ下以外では機能しない香川真司を選出した西野監督の判断には疑問が残る。


記事執筆

【ハルトキノシタ】

兵庫県で生まれ育ち、現在は東海地方の国立大学に通う20歳。2010-11シーズンのインテルに魅せられ、フットボールの虜に。好きなアーティストはSuperfly。

Twitter:https://twitter.com/haru_k_1230