【世界に挑戦できる日本人GK輩出への道】

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将来指導者として仕事をしていきたい。教え子をプロサッカー選手に育て上げたい。
サッカーをしていた人の中にはこのような指導者としての想いを持つ人が多いのではないでしょうか。今回は、「日本のGKが世界に挑戦できるアカデミーを創る」というビジョンを掲げ、現在大学3年生ながら、Jクラブのスクールや社会人チームで指導者として活動する初見海人さんです。

 

1年前までは普通の体育会学生

小学4年生の頃にサッカーを始め、ポジションはゴールキーパーで、小中時代には県選抜に選ばれていました。そして高校は佐野日大高校に進学し、3年間サッカー漬けの毎日でした。高校卒業後も大学で体育会サッカー部に所属していたのですが、2年時に引退する決意をしました。

もともとサッカーの指導者になりたいと思っていたのですが、大学4年間をプレーヤーとしてのサッカーだけに費やすことが、将来に繋がるのか不安になっていました。卒業後、好きではないことを仕事にして定年まで働くのか、それとも、自分の好きなことをずっと仕事にして生きていくのか、どちらが良いのかを考えた時にサッカー部を引退し、将来のために動き出すことが必要だと思ったからです。

約一年前、自分より先に体育会サッカー部を辞めた友人に誘われ、学生主催のイベントに参加しました。当時は部活動一本だったため、あまり外部のことは知りませんでした。そのため、将来のことを考えて動いている同世代の学生がいることを目の当たりにし、「自分は何をしているんだ」という気持ちになりました。

今は主に3つのことを軸に活動しています。

1つにJクラブのスクールでのGKコーチです。将来のためにも指導をする経験が必要でしたが、将来に向けて動き出すようになってからこのようなチャンスを貰うことができました。チームには2017年の夏頃から参加するようになり、今では週に3回ほど指導しています。指導をしていると、子どもたちが純粋にサッカーを楽しむ姿や1日でも見違えるほどレベルアップしているのを見ると、やりがいを感じます。また、周囲のコーチ陣のレベルが高いため学ぶことも多く、日々刺激を貰いながら指導ができるので充実しています。

2つ目は、社会人クラブでの活動をしています。全体で100人近く所属しているクラブでトップチームは東京都の3部リーグに所属しています。そこでの活動内容としては、チームのコーチと運営です。また、現在休止中ではありますが、高校生、大学生対象のGKクリニックも行っていました。

そして、もう1つの活動としては、指導者の学ぶコミュニティーを作っていることです。
私が行動するようになってから、同世代の指導者と会う機会が増えたのですが、そこで大きな問題点を抱えていることに気づきました。 

それは大学4年生になると、指導者になる夢を諦めてしまうことです。本当は指導者を仕事としたいものの、指導者一本で食べていくことが難しいという現状から、他の道を選択することです。また、指導法を学ぶ環境がなく、自身の経験でしか指導をすることができずに困っているということでした。そのために若手の指導者が交流できる場を作って、同世代の現状や指導方法など情報交換ができるようにしたいと思っています。

 

GKという唯一のポジション

多くのGKが経験していると思いますが、GKの専門コーチに指導されることがほとんどありませんでした。中学時代、週1回はGKコーチが指導に来ていたのですが、試合日に顔を出すことはほとんどなく試合中に指示されることはありませんでした。GKとしての指示がない一方で、ミスをしてしまうと監督に怒られるだけです。自分のプレーの何がいけなかったのか、どのように解決すればいいのかを専門コーチがいないためにアドバイスを貰えませんでした。結局、怒られてばかりで自分のプレーに自信を持てずに悪循環に陥りました。

高校に進学するも、ここでも、GKの専門コーチはいなかったので、選手だけでメニューを考えてトレーニングするだけでした。1年生でトップチームに呼ばれたのですが、プレーに関して先輩から叱責されることも多く、ここでも自信を失いました。プレーすることが恐い。いわゆるイップスの状態です。その状態が続き、パフォーマンスも上がらないまま、2年時にはトップに呼ばれることはなく終わりました。

この状況を脱することができたのは、3年生になってからです。ちょうどこの頃に注目を浴び、活躍していたのがマヌエル・ノイアー(ドイツ代表、バイエルン・ミュンヘン)でした。

彼のプレーを見てから、自分もこのようなGKになりたいと目標が見つかりました。そのためにはどうすればよいのか、ノイアーが出ている試合を分析して、それをトレーニングに取り入れるようにしました。この期間はノイアーという目標ができ、純粋にプレーも楽しむことができました。結果としてパフォーマンスも良くなり、トップチームにスタメンで出場できるようにもなりました。

サッカーをしていて大きかったことが、やはりGKの専門コーチがいなかったことです。
フィールドプレーヤーであれば様々なことを教えてもらうことはありますが、GKを理解して指導できる人はいませんでした。特殊なポジション、かつ個人でも戦うGKには、やはり指導者が必要だと思ったのです。
「過去の僕のような経験をしてほしくない。選手にはサッカーを純粋に楽しんでプレーしてほしい。」
そのような想いを強く持っています。過去の僕が解決できたのは目標を持ってプレーすることだけでした。

よりパフォーマンスを上げる、楽しくプレーするためには、GKとしてのスキルやメンタルを身につけることが重要だと思ったのです。その想いが今の指導者としての活動に繋がっています。

 

日本のGKが世界に挑戦できるアカデミーを創ること

GKの指導者不足。これまでの経験から、指導者の存在は選手としての成長に大きく影響を与えると感じていました。自分と同世代の選手を見ていて、専門コーチのいるチームのGKは明らかに上手くなっていたのです。しかし、専門コーチのいるチームはそう多くありません。そのことが日本人GKが世界で活躍できてない1つの原因だと思っています。

日本はGKがコンプレックス。世界には通用していないと自分たちで思ってしまっているのが現状です。その現状を変え、海外で活躍するGKを輩出したいですね。そして、僕には大きく、日本サッカーを変えたいという想いがあります。そのためにはキーパーが変わるしかないと思い「世界に挑戦できるGKアカデミーを創る」というビジョンに至りました。

現在、GKとして専門の指導をしていて、選手が成長するのを見ているのですが、今の子供達がスキルやメンタルを身につけるための環境ができれば、自ずと日本のGKはレベルアップするはずです。そのためにも「日本人GKが世界に挑戦できるアカデミー」を将来創りたいです。このアカデミーでトレーニングした選手が、卒業後に海外に挑戦できるような状態を目指しています。世界と比較すると日本人選手は小柄になりますが、それをスキルでカバーして、世界で通用するようになってほしいです。そして、海外挑戦した選手が、次世代の選手に経験を還元するサイクルにしたいです。

また、指導者として活動するようになり、新たにやっていきたいビジョンが生まれました。現状として指導者は雇われることが当たり前であるという考え方があります。その思考を変えて、能力がある指導者が経営的な思考を持って自分の力で生きていける環境を創っていきたいと考えています。そして、選手から指導者になり、セカンドキャリアを歩むときに、その舞台でも世界で活躍できる人材になってほしいという思いがあります。

日本のサッカーを変えるためにもGKから。将来、世界で活躍する日本人GKが増えて、人気のポジションになってほしいと思っています。