昨今では、eスポーツが新たなスポーツの形として注目されています。
2021年に開催された世界大会では、過去に優勝賞金1億5000万円という破格の賞金額がニュースでも話題にもなった、日本発のeスポーツ『Shadowverse』について特集します。
また、2022年9月に開催されたばかりの決勝大会「RAGE Shadowverse 2022 Autumn GRAND FINALS」の現地レポートをお届けします。
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『シャドバ』とはどんなeスポーツなのか?

eスポーツには、格闘ゲームやシューティングゲーム、デジタルカードゲーム、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)など様々なジャンルがあります。
『Shadowverse』(通称:『シャドバ』)は、ジャンルとしてはデジタルカードゲームに位置します。
どんなルールなのか
漫画やゲームに詳しい方は『遊戯王』や『マジック:ザ・ギャザリング』のような1対1の対戦型カードゲームを想像すると良いでしょう。
プレイヤーは自分のオリジナルのデッキを用意して、対戦中はそれらのカードを使い、攻撃したり防御したりします。
将棋や囲碁のように、自分の持ち時間は限られており、様々な選択肢の中から、ベストな組み合わせを選んでいきます。1ターンの思考時間は90秒と非常に短く、カードを使っている間に時間切れになると、強制的に相手のターンになってしまうルールです。
将棋に例えると、対戦前に将棋の駒の数やその配置を自由に決められ、1ターンの間に駒を定められた制約内で何回も動かして最適解を導き出す。そういった複雑性や選択肢の多さを持つゲームです。
賞金額がすごい
『Shadowvers』eの公認大会として年に4回(株式会社CyberZ 、エイベックス・エンタテインメント株式会社、株式会社テレビ朝日が主催となり)開催されるRAGE Shadowverse。その予選大会を勝ち抜いた選手が参加するGRAND FINALS(今回の大会)の優勝賞金は1,000万円であり、一般のプレイヤーが参加できる大会の賞金額としては最高レベルです。
また、2022年大会のGRAND FINALSの優勝者は、その先に待ち受ける強者だけが参加権を得ることのできる「Shadowverse Invitational」に招待されます。
今回のInvitationalでは賞金は付与されませんが、昨年2021年12月に開催された世界大会、「Shadowverse World Grand Prix 2021」の優勝賞金は1億5000万円と、国内eスポーツにおける最高額賞金としてニュースになりました。
賞金1,000万円!GRAND FINALS 本戦レポート
そんな賞金1,000万円を賭けた戦い「RAGE Shadowverse 2022 Autumn GRAND FINALS」について、2022年9月に開催された本戦の現地レポートを交えて紹介します。
配信ページ:【GRAND FINALS】RAGE Shadowverse 2022 Autumn
そもそもどんな大会なのか
「RAGE Shadowverse 2022 Autumn GRAND FINALS」とは、予選大会である「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」を勝ち抜いた8名による、賞金1,000万円獲得を目指す決勝トーナメントです。
予選の「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」は、約5000名のプレイヤーがエントリーする、国内最大級の参加人数を誇るeスポーツ大会です。
これが予選大会「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」の様子です。全員が『Shadowverse』のプレイヤーであり、丸2日間の厳しい戦いを繰り広げます。
対戦中のプレイヤーたちの表情は真剣そのものです。対戦中は試験会場のような静寂に包まれており、ゲームというよりも将棋や囲碁の対局を見ているようです。
厳しい予選を通過した8名です。GRAND FINALSでは彼らが最後の戦いに挑みます。
事実上の決勝戦か!? yoshiky選手vsミル選手
「RAGE Shadowverse 2022 Autumn GRAND FINALS」がどんな大会なのか理解できたところで、今回のGRAND FINALSの話に戻ろうと思います。白熱の決勝戦の前に、決勝戦以外の試合から絶対にチェックすべき試合を筆者がピックアップしました。
「RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR」に参戦するプロチーム、auデトネーション所属のミル選手です。精密機械のようにミスのないプレイがファンを魅了する、『Shadowverse』のプロシーンを牽引するプレイヤーの1人です。
ミル選手は、今回でGRAND FINALSへの進出が3度目。驚異的な強さです。ミル選手はインタビューでも「3度目の正直だ」と答えており、今回のトーナメントでは「“優勝”しか要らない」というほどの意気込みです。
このミル選手と1回戦でぶつかることになったのは、yoshiky選手です。yoshiky選手は、今回がGRAND FINALS初進出の選手ではありますが、『Shadowverse』以外の他のカードゲームでは世界レベルでの実績を多く残しており、カードゲーム界隈では有名な実力者です。
様々なカードゲームで培ってきた技術と経験で今回のトーナメントに挑みます。他カードゲームの競技シーンを賑わしてきた若き天才が『Shadowverse』に殴り込んできた構図です。
筆者としては、事実上の決勝戦とも言える注目の組み合わせです。実際、トーナメントの準々決勝にも関わらず観客席はほぼ満員でした。
激戦の末、勝利したのはyoshiky選手でした。
ミル選手は最終局面で勝利に繋がる手札を手に入れましたが、必要なカードを使い切る前にターンの制限時間切れとなり、既に勝利に必要な盤面を構築していたyoshiky選手が勝者となりました。
そして決勝!テリヤキ選手vs山芋選手
ではお待ちかねの決勝の試合をレポートします。この試合に勝った選手が賞金1,000万円を手にします。
決勝の舞台に進んだ1人目は、趣味であるプラモデル作りで培ったという圧倒的な集中力を持つテリヤキ選手です。
テリヤキ選手は、この大会の予選である「RAGE Shadowverse 2022 Autumn」の最終試合にて、プロチーム auデトネーション所属のSpicies選手を破っています。その勢いをそのままに決勝まで駒を進めました。
一方の山芋選手は、2021年の世界大会、「Shadowverse World Grand Prix 2021」にも出場し、世界3位という実力を持つ強豪です。準決勝で前述したあの歴戦のカードゲーマーyoshiky選手を破っての決勝進出です。
十分な実績をもつ山芋選手ですが、同時に2021年の世界大会準決勝での敗北は苦い思い出でもあります。その悔しさを晴らすべく、この大会に賭けています。
試合は一進一退の攻防で、最終戦の5戦目までもつれ込みました。
選手がカードをドローする度に、会場が割れんばかりに盛り上がります。試合が終盤に差し掛かるにつれてボルテージは最高潮まで高まります。
一進一退の攻防の末、勝利を手にしたのはテリヤキ選手でした。終始表情を変えることなく冷静にプレイし続ける姿が印象的でした。
待ちわびた決着の瞬間、観客たちは2人の戦いを称えるように応援用のバルーンを叩き、会場は一体になりました。
一方、敗れてしまった山芋選手でしたが、無限の選択肢がある中、迷うことなく高速でカードをプレイする姿は会場の観客を魅了していました。
優勝はテリヤキ選手!そしてグランドフィナーレ
高々とトロフィーを掲げるテリヤキ選手。
エンディングでは他の選手たちも登壇しました。優勝したテリヤキ選手をはじめとした8名の選手に今一度大きな拍手が送られました。
司会者:今の率直なお気持ちはいかがですか!?
テリヤキ選手:あ、嬉しいです。はい。
司会者:今のこの気持ちを誰に伝えたいですか?
テリヤキ選手:一緒に調整してくれた仲間や、シャドバの友達に伝えたいと思います。
司会者:チャンピオンに輝きました!実感はありますか?
テリヤキ選手:終わったばかりなので、あまり実感がないです。
あまりにも冷静過ぎるテリヤキ選手の受け答えに、会場からも度々笑いが起こりました。トロフィーを掲げるテリヤキ選手。優勝賞金の1,000万円を獲得しました。
大会観戦以外も充実!サイドイベントで一日中楽しめる!
「RAGE Shadowverse 2022 Autumn GRAND FINALS」の会場では、決勝トーナメント以外にも様々なイベントが開催されているので、1日中楽しめます。
対戦をして賞品をゲット
会場で自由に参加できるサイドイベント、4人フライト式トーナメントでは、勝利するとイベント限定のプロモーションカードが配布されます。
プロゲーマーと対戦をして腕試し
『RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR』で活躍するプロチームに所属しているプロゲーマーと対戦ができるブースです。対戦して腕試しができるだけでなく、憧れのプロゲーマーからアドバイスをもらうことができます。
また、対戦目的というよりも日頃から応援をしているファンが、コミュニ―ケーション目的で参加されている様子も見受けられました。
ゲームの世界観を味わえる特別グッズをゲット
同じくCygamesが企画・開発を行っている、今年4月に発売されたばかりのリアルカードゲーム、『Shadowverse EVOLVE』も人気のカードゲームです。
会場では『Shadowverse EVOLVE』を遊ぶために使えるプレイマットやスリーブも販売されていました。
写真はどれも会場で先行販売されているグッズです。
会場のホールにはGRAND FINALS出場者たちの巨大パネルがありました。
このパネルをバックに写真を撮影する観戦者も多くいました。
『Shadowverse EVOLVE』の公式アンバサダーと対戦するブースもありました。
対戦の様子はカメラで撮影され、会場のモニターに映し出されています。
『Shadowverse EVOLVE』も競技大会が開催されており、これから注目のマインドスポーツです。
誰でも参加できるeスポーツ
『Shadowverse』はスマホ1つあれば誰でも楽しめるeスポーツです。また、現在は1年に4回開催されている「RAGE Shadowverse」は誰でも参加できる賞金制のeスポーツ大会です。
デジタルカードゲームは、体の大きさや身体能力で優劣がつかず、誰もが同じ条件で競えます。気軽に頭の体操として『Shadowverse』をするも良し、仲間たちと一緒に賞金を目指して真剣に練習をするも良し。
自由度の高さも含めて、eスポーツはまさにスポーツなのです。
© Cygames, Inc.
©︎RAGE
【執筆者】Ogawa ShotaTwitter:@oga_5648