バレーボールを入口に、若者と企業の接点をつくる。秋田「STRATEGE」の取り組み

インタビュー

部活動の地域移行や、若者の地元離れが各地で課題になっている。そんな中、秋田で活動する社会人バレーボールクラブがある。「STRATEGE バレーボールクラブ」だ。代表を務めるのは武田さん。

このクラブが取り組んでいるのは、バレーボールだけではない。子どもたちが競技を続けられる場所をつくり、Instagramを通じて地元企業と若い世代の接点をつくろうとしている。地域に立ち上がった小さなクラブが、企業や若者をつなぐ役割を担えるのか。その一例として、STRATEGEの活動を紹介したい。

秋田への恩返しから始まったクラブ

武田さんは、自身の学生時代を「本当にたくさんの人に迷惑をかけてきた」と振り返る。そのうえで、秋田で過ごす中で支えてくれた人たちへの思いが、今の活動につながっていると話す。

大人になった今、自分ができる形で秋田に返していきたい。その思いから、自身も経験してきたバレーボールを軸にクラブを立ち上げた。

最初は、高校時代の後輩や同級生など3人からのスタートだったという。今は10代後半から20代前半のメンバーを中心に活動している。

子どもたちが競技を続けられる場所をつくる

武田さんが大切にしているのは、子どもたちに言葉だけで伝えるのではなく、自分たちが本気で活動する姿を見せることだ。社会人になっても競技に向き合う。クラブを立ち上げ、うまくいかないことがあっても続けていく。そうした姿を見てもらうことが、ひとつの教育になると考えている。

もう一つの目的は、子どもたちが競技を続けられる場所をつくることだ。子どもの数が減り、人数が足りなければチームは組みにくい。近くにクラブがなければ、競技を続けること自体が難しくなる。部活動の地域移行が進む中で、その受け皿をどうつくるかも問われている。住む場所や環境の差で好きなスポーツを諦める子どもを、できるだけ減らしたい。武田さんはそう考えている。

実際、高校生から「参加したい」「教えてほしい」と連絡が来ることもあるという。練習に高校生が加わることもある。社会人が中心のクラブに若い世代が関わることで、競技を続けられる場所が地域に増えていく。

地域クラブも、企業と若者をつなぐ接点になれる

STRATEGEでは、Instagramを中心に活動を発信している。武田さんがInstagramを選ぶのは、10代から30代の若い世代に届きやすいと考えているからだ。

地元の学校や部活動、企業アカウントともつながりながら、活動を知ってもらう機会を増やしている。子どもたちや若い世代が投稿を見て、そこからクラブや地域の企業を知ることもある。

若い世代に自社のことを届けたい企業にとって、地域のクラブが持つ発信やつながりは、ひとつの接点になり得る。特に地方では、企業が若者に自社の魅力を届けることは簡単ではない。求人情報だけでは届かない相手に、クラブの活動を通じて企業の存在を知ってもらうこともできる。

スポンサーシップというと、プロチームや大きなクラブを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、地域に根ざした小さなクラブにもできることはある。日々の活動を届け、地域の若者とつながる場を持つこと。応援してくれる企業の存在を、活動と一緒に伝えること。地域の中で、人と企業が出会うきっかけをつくること。

STRATEGEの取り組みは、地域スポーツクラブがコミュニティであり、発信媒体にもなれる可能性を示している。

地域に残る理由をつくる

武田さんの周囲でも、進学や就職を機に東京や首都圏へ出ていく人は少なくないという。その中には、「秋田に戻る理由がない」と話す人もいるそうだ。

そうした声に触れる中で、武田さんは「秋田に残るきっかけをつくること」の必要性を感じてきた。

バレーボールを続けられる場所をつくること。地域の企業を知る機会を増やすこと。地元で挑戦する若い大人の姿を見せること。STRATEGEの活動には、若い世代が地域に関わり続ける入口をつくる意味もある。

スポーツクラブは、競技をする場所であると同時に、人が集まり、地域の情報が行き交う場所にもなれる。STRATEGEの取り組みを、これからの地域スポーツを考えるうえで、ひとつの事例として示しておきたい。

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