ヨガといえば、呼吸を整えたり、身体と心を調えたりするものというイメージを持つ人が多いかもしれない。一方で今、インドを中心に広がりつつあるのが、ヨガのポーズを競技として評価するヨガアーサナスポーツだ。
日本ではまだ馴染みのある言葉ではないが、すでにアジア大会や世界大会も行われており、国際的な広がりを見せている。今回は、昨年アジア大会にも出場し、日本での活動にも取り組む久永さんに話を聞き、ヨガアーサナスポーツとはどのような競技なのかを紹介したい。
ヨガアーサナスポーツとは、ヨガのポーズの完成度を競う競技
ヨガアーサナスポーツは、ヨガのポーズ(アーサナ)の完成度を競う採点競技だ。競技では、定められたポーズをどれだけ正確に、美しく、安定して表現できるかが評価される。
単に柔軟性の高さを見るものではなく、つま先の伸び、手の位置、姿勢の安定感、規定時間しっかり保持できているかといった細かな要素が採点対象になる。
イメージとしては、新体操のような採点競技に近い。ポーズごとに定められた基準に沿って得点と減点が決まり、見た目の美しさだけでなく、身体のコントロールや精度も求められる。

インドを中心に国際的な広がりを見せている
この競技の中心にあるのはインドだ。ヨガを文化としてだけでなく、スポーツとしても体系的に育てようとする動きが進んでおり、国内でコンペティションが開かれ、その先に世界大会につながっていく構造もできつつある。
昨年行われたアジア大会には21カ国が参加した。日本ではまだ認知が低い一方で、アジアを中心に少しずつ広がりを見せている競技であることが分かる。

久永さん自身も昨年、ヨガアーサナスポーツのアジア大会に出場し、もともと取り組んできたヨガの経験を活かして上位に入り、メダルも獲得したという。
日本人はコツコツと積み重ねることが得意で、身体の使い方を丁寧に磨いていくことにも向いている。そうした特性がこの競技にも活きるのではないかと感じたそうだ。

また、この競技には年齢ごとのカテゴリーが設けられており、子どもから大人まで挑戦できる。柔軟性は年齢によって差が出やすいため、それぞれの年代に応じた形で参加できるようになっている点も特徴の一つだ。
キッズヨガにも関わる久永さんは、ヨガは身体にとって良い一方で、子どもたちが目標を持ちにくい面もあると感じてきたという。その中で、大会や発表の場があることは、ヨガに取り組む子どもたちにとって一つの目標になり得る。

ヨガだけでなく、他競技との接点もある
ヨガアーサナスポーツは、ヨガ経験者だけのものではない。体操、ダンス、バレエ、コントーションなど、柔軟性や身体表現に強みのある人たちにとっても、挑戦の余地がある競技だという。ヨガそのものに限らず、身体の使い方や柔軟性を活かせる競技として広がる可能性がある。
一方で、「ヨガは競うものではない」という声があるのも事実だ。久永さん自身も、最初はそう感じていたという。ヨガには本来、自分と向き合うことや、他人と比べないことに価値を置く側面がある。
だからこそ、順位をつけることに違和感を持つ人がいるのは自然なことでもある。その上で、リラクゼーションや瞑想としてのヨガの価値と、競技としてのヨガアーサナスポーツは別のものとして存在し得るという捉え方もある。
従来のヨガの価値を否定するのではなく、新たな形として位置づけている点も、この競技を語るうえで欠かせない要素だ。

日本では連盟が立ち上がり、6月には世界大会も控える
昨年、日本での活動を進める中で、一般社団法人として連盟も立ち上がった。
現在は競技人口を増やすことに加え、指導者の拡大や、今後の大会実施も見据えて動いている。ヨガの先生は多くいても、この競技のルールや指導法まで理解している人はまだ限られておらず、競技としての整備はこれからの段階にある。
直近では、6月に世界大会が予定されている。日本からは約20名の選手が参加予定で、小学生の選手も含まれているという。現在は選手たちが大会に向けて準備を進める中で、ユニフォームや物品協賛などの環境づくりも進められている。

ヨガアーサナスポーツは、まだ知られていない新競技のひとつ
ヨガアーサナスポーツは、日本ではまだ広く知られている競技ではない。ただ、すでに国際大会があり、日本から出場する選手たちがいて、国内でも連盟としての動きが始まっている。
ヨガのポーズを競技として評価するという点で、これまでのイメージとは少し異なる側面を持つスポーツではあるが、そのルールや背景を知ることで見え方も変わってくる。
ヨガアーサナスポーツとは何か。まずはその輪郭を知るところから、この競技への理解が始まっていくーー。
プロフィール
久永早織 Instagram
ヨガインストラクター/日本ヨガアーサナスポーツ連盟 理事・コーチ
2nd ASIAN YOGASANA CHAMPIONSHIP にて銀メダル1個/銅メダル1個獲得
渡邉 尚 Instagram
身体研究者/サーカスアーティスト/日本ヨガアーサナスポーツ連盟コーチ
2nd ASIAN YOGASANA CHAMPIONSHIP にて金メダル2個/銀メダル2個獲得
儀保 桜子
2nd ASIAN YOGASANA CHAMPIONSHIP にて金メダル1個獲得
磯田 陽麻里
2nd ASIAN YOGASANA CHAMPIONSHIP にて銅メダル3個獲得



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