スノーボードと聞くと、ジャンプや回転、ハーフパイプのような種目を思い浮かべる人が多いかもしれない。そんな中で、三浦愛莉さんが主戦場としているのは「カービング」、そしてその技術を競うテクニカル選手権だ。
カービングは、いわばターンを突き詰めた滑りである。派手な空中技があるわけではないが、雪面をどう捉え、どうターンをつなぎ、どう自分の滑りを表現するかが問われる、奥深い競技だ。観る側には差が見えづらい一方で、滑り手にとってはごまかしの利かない世界でもある。
現在大学3年生の三浦さんは、そんなカービングを競技として追いかけながら、インストラクターとしても活動している。
スノーボードを始めたのは3歳の頃。ただ、最初から競技一筋だったわけではない。家族と年に1、2回滑る程度だったが、転機になったのはコロナ禍だった。続けていた剣道の大会ができなくなり、もうひとつの趣味だったスノーボードに一気にのめり込んだという。
中学3年生の頃には検定に挑戦し、2級、1級と取得。18歳でインストラクター資格を取り、大会にも目を向けるようになっていった。もともと、何か目標を見つけてそこに向かって努力することが好きな性格だったという。少し頑張れば届きそうな目標を見つけ、そこに向かって積み重ねる。その感覚が、自然と競技の世界にもつながっていった。
「前例になってほしい」という言葉が、今も原点にある
三浦さんが追いかけてきたのは、単に勝つことだけではない。競技を続ける中で、今も強く心に残っている言葉がある。
19歳の頃、スクールでこう言われたという。
「上位にいる選手やデモンストレーターの多くは、師匠がデモンストレーターであることが多い。でも、そうでない前例になってほしい」
デモンストレーターとは、技術力や指導力が高く評価され、スノーボード連盟の“顔”ともいえる存在だ。全日本で優勝すれば必ずなれるわけではない、一握りの立場でもある。
この言葉は、三浦さんの競技人生の軸になっている。特別な環境や、すでに敷かれたレールがなくても、自分自身の努力と、支えてくれる人との出会いを積み重ねながら道を切り開いていく。そうやって目標に近づけることを、自分の活動を通して体現したい。そんな思いを強く持っている。
競技は個人種目だが、全日本出場も一人の力では実現できなかった。所属スクールの仲間やスポンサー、コーチの支えがあってこそ、今の自分がある。だからこそ、環境に恵まれていることへの感謝を忘れず、自分らしい形で挑戦を続けたいと考えている。

感覚から戦略へ。全日本で見えた現在地
ここまでの道のりは、順調なことばかりではなかった。
大会には出場していたものの、自分の中ではどこか感覚的に滑ってしまっている部分があったという。一本ごとに反省し、前の滑りより良くしようという意識は持っていたが、目の前のミスだけを追ってしまい、本当の原因に向き合えていなかった。
実際には、一つの動きのミスの原因が、その前の動きにあることも多い。単発で見るのではなく、動きのつながりとして自分の滑りを捉える必要があると気づいた。
さらに大会本番では、「120%の滑りを出したい」と考えていた時期もあった。だが、それは一か八かの滑りになりやすく、安定したパフォーマンスにはつながらない。そんな課題に気づかせてくれたのが、現在のコーチの存在だった。
コーチから学んだのは、技術だけではない。雪質やコンディション、その時点での順位を踏まえ、自分の持っている力の中からどの滑りを選択するかという「競技としての戦略」だった。
その変化は、結果にも表れた。これまで突破できなかった全日本テクニカル選手権の関東予選を通過し、本戦出場を決めたのだ。以前のように最初から全力でぶつかるのではなく、冷静に状況を見ながら勝負できたことが大きかったという。感覚任せではなく、考えて滑る。その変化が、長く続いていた迷いを抜け出すきっかけにもなった。
一方で、初めて立った全日本本戦の舞台では、思うような結果を残すことはできなかった。空気に飲まれ、自分のペースで滑れない。公開練習の時点からどう動けばいいかわからず、圧倒的なアウェイ感もあった。本来なら、リカバリーできる範囲で滑ることを目標にしてきたはずなのに、最初の種目で転倒し、そこから流れを崩した。納得のいく滑りをしきれないまま、大会は終わった。
それでも、この経験は無駄ではなかったと三浦さんは受け止めている。上位選手がどう過ごしているのかを間近で見られたこと、あの舞台の空気を知れたこと自体が、次につながる学びになったからだ。
今の目標は明確だ。まずは来年も全日本の舞台に立つこと。そして本戦で、自分の納得できる滑りをそろえることだ。順位としてはトップ10入りを見据えつつも、それ以上に大切にしているのは「自分の滑りをすること」。環境や状況に左右されず、自分の軸を保ち、再現性高く滑れる選手になることが、今の最大の課題だという。

支えへの感謝を力に変え、次の挑戦へ
こうした挑戦は、決して一人だけで成り立っているわけではない。
所属するスクールの仲間やスタッフ、空き時間を削って一緒に滑ってくれるコーチ、遠征に同行して動画を撮ってくれる母親。三浦さんの周囲には、多くの支えがある。
とくにコーチへの信頼は厚い。技術だけでなく、メンタル面でも寄り添ってくれる存在であり、大会前にも一方的な励ましではなく、「大いに緊張してきなさい」「その空気感を感じてきなさい」と、今の立場に合った言葉をかけてくれたという。そうした関わりがあるからこそ、自分の弱さや不安も素直に話せる。三浦さんにとって、競技力以上に大きな支えになっている。
また、大会後に足を痛めた際には、スポンサーの整体院がすぐに対応してくれた。全日本後、椅子から立ち上がるのもつらいほど両膝に痛みが出たが、すぐに身体を整えてもらい、大事には至らなかったという。そうした支えに対しても、感謝の気持ちは大きい。
競技を続けるには、現実的な負担もある。ギア代、リフト券代、交通費、食費、滞在費、大会エントリー費、大会遠征費。学生である今は、母親に頼っている部分も大きいという。だからこそ、自立していくことで、より自由に滑走できる環境を整えていきたいという思いもある。
「まだ完成された選手ではありませんが、だからこそ成長の過程そのものに価値があると考えています」
三浦さんはそう話す。
結果だけでなく、その過程や姿勢も含めて見てもらえる選手でありたい。支えてくれる人たちへの感謝を力に変えながら、三浦愛莉さんは次の舞台へ向かっている。

三浦愛莉
スノーボード・カービング競技。インストラクターとしても活動しながら、全日本テクニカル選手権大会に出場。「サロモンテクニカルカップ」優勝、全日本学生スノーボードテクニカル選手権大会2位、YONEX主催「ride on」3位。
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